【金波銀波】「国民保護に関するアンケート調査」。…

 「国民保護に関するアンケート調査」。石垣市は、市内のインフラ事業者を対象にこんな表題のアンケートを5月に実施した。依頼文には「シェルターの収容規模(人数)を算出したい」とある。有事への懸念が高まる中で、住民が島外脱出を果たすまで避難するシェルターの基礎データ収集が目的だった▼質問は「住民避難が完了するまでの間、ある程度の職員を島内に配置し、緊急事態への従事を想定しているか」「民間人の避難完了後も、職員を島内に残し従事させる可能性はあるか」など4問。「はい」か「いいえ」で答え、「はい」の場合はその人数など尋ねた▼ところが、このアンケートは今、なかったかのように放念されている。理由はほとんどの回答が「はい」でも「いいえ」でもなく、有効なデータは全く得られなかったからだ▼回答した企業の担当者の一人は「重要なテーマなのに唐突。目的と質問の内容に乖離も感じた」と当惑する。アンケート依頼は5月8日付。回答期限は同19日。7月に来島した官房長官に示す必要があったのだろうが、拙速な調査が不信感を招いただけだった。有事下の業務に従事するにはさまざまな課題が浮かぶ。これを短期間に紙1枚で調べようとするセンスにはあきれる。丁寧に主旨や使途を説明することが、市民の理解を得るために必要なのだが。

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