黒島豊年祭(主催・同公民館)が13日、島内にある宮里海岸で4年ぶりに開催された。島民や島出身の郷友らが参加し、今年の豊作に感謝するとともに、来年の平穏無事を祈願した。村対抗のパーレー(ハーリー)、4村(宮里、東筋、仲本、保里)に伝わる伝統芸能も奉納された。黒島豊年祭は、豊年祭にハーリーを取り入れた八重山でも独特の祭りとなっている。
黒島にある4村は、事前にオンプールを済ませた。13日には、それぞれの旗頭を海岸に設置し神事を行った。
果報人を務めた黒島英範さんの「乗出」を受けた後、男性たちがハーリー船に乗り、沖に漕ぎ出し「朝漕い」を行った。各村がある方向を向き、歌を歌いながら豊穣に感謝。来年の豊作も祈った。
ハーリーは、ウーニーと呼ばれる各村の代表者が浜で長老から「杯取らし」を受けた後、漕ぎ手たちが乗るハーリー船に向かって走り始めてからがスタート。ウーニーも乗り込んだ後、200㍍沖に浮かぶ「フキ」と呼ばれる浮き具を先に浜に持ち返った方が勝ちで、トゥジと呼ばれる船頭の操船技術なども試される。
午前中は宮里と仲本が対戦。「杯取らし」後、ウーニー2人がハーリー船に向かって全速力で走り始めると観客や他の参加者たちは、「サーサーサー」と、歓声を上げた。
海上でうまく「フキ」を取った宮里が先に浜に戻り、勝利。終了後、競争を見守っていた女性たちも加わり、旗頭の周りで巻踊りを行った。
午後の休憩後、伝統芸能が行われ、ミーラク(ミルク行列)などが披露された。午後からは東筋と保里のパーレーが行われた。
竹富町の前泊正人町長は「3年ほど続いた新型コロナウイルス禍の影響で祭事は制限された。町は地域住民と共同で黒島の発展に努める」と力を込めた。石垣市宮良在住の女性は知人たちと共に来場。「東筋生まれ。自分の村を応援するため豊年祭に来た。伝統芸能でもっと黒島をアピールできれば」と期待。「来場者ももてなすのは、黒島だけ」と誇らしげに語った。