尖閣侵入、ミサイルに抗議 赤嶺議長が中国大使と面会

赤嶺議長(左)が呉大使と面会した=5日、県議会

 県議会の赤嶺昇議長は5日、中国の呉江浩大使の表敬訪問を受け、中国海警局の艦船が石垣市の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返している問題に抗議し、平和的な外交を求める「要望書」を渡した。中国が昨年8月の軍事演習で、波照間島周辺の日本のEEZ(排他的経済水域)に弾道ミサイルを撃ち込んだ問題に対しても、沖縄近海で軍事演習を一切行わないよう要求した。沖縄の有力政治家が、尖閣や弾道ミサイルの問題で中国側に直接抗議したのは初めてと見られる。赤嶺議長が呉大使との面会後、報道陣に明らかにした。

 要請書では、尖閣周辺海域で操業する日本漁船を中国海警局船が威圧している問題に抗議。信頼関係の構築によって問題解決に取り組むよう求めた。
 弾道ミサイル発射に関しては「このような行動は偶発的な軍事衝突を生む」として、平和的な外交交渉の必要性を強調した。いずれも県議会で同内容の決議が可決されている。
 赤嶺議長は、中国が尖閣諸島を自国領のように表示している新地図を公表した問題も取り上げ、口頭で抗議の意を伝えた。
 呉大使との面会は非公開で行われた。赤嶺議長によると、大使は沖縄側から抗議されることを予想していなかった様子だった。要望書は受け取ったものの「見解の相違がある」などと反論したという。
 また、自ら台湾に言及し「台湾が独立を宣言すれば平和は維持できない」と警告。台湾独立を支持する「誤ったメッセージ」を発しないよう求め、沖縄世論を牽制(けんせい)した。
 玉城デニー知事の訪中については「中国メディアでも大きく取り上げられた」と高く評価した。
 玉城知事は訪中時、中国政府の要人と面会しながら、尖閣やミサイル発射の問題について一切抗議しなかった。赤嶺氏は報道陣の取材に対し「知事が中国に行くのは結構だが、言わないということは一切責任を取らないということだ。(知事は地域外交と言っているが)ある程度耳が痛いことを言うのが外交。知事が『国の専管事項』と言うなら、ジュネーブ(国連)には行くなという話になる」と知事の対中姿勢を疑問視した。
 赤嶺氏と呉大使の面会は中国側の要望で実現した。玉城知事も6日、県庁で呉大使と面会する予定で、発言内容が注目されそうだ。
 呉大使は3月に着任。4月に日本記者クラブで講演し、台湾有事に関し、日本が介入の姿勢を示せば「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言。物議をかもした。

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