台湾有事に備え、政府は南西諸島を中心に安全保障上必要性の高い空港・港湾の機能強化を進める方針で、5日には内閣府など関係省庁の担当職員らが石垣市役所と竹富町役場を訪れ、協力を要請した。今後、機能強化の対象となる「特定重要拠点空港・港湾」(仮称)を八重山でも指定するが、新石垣空港などが有力候補になると見られ、同空港の滑走路延長事業が国主導で具体化する可能性が出てきた。
特定重要拠点空港・港湾の指定は岸田文雄政権が昨年12月に決定した国家安全保障戦略に盛り込まれた。今後、自衛隊、海上保安庁の艦船・航空機が利用できるよう、空港の滑走路延長や港湾の岸壁整備などを進める。新規事業の創設や既存事業の促進を図ると見られ、2024年度予算への計上を目指す。
5日に石垣市役所、竹富町役場を訪れたのは主に内閣府、防衛省、国交省、海保の課長級職員で、総勢19人。両市町によると国側は、特定重要拠点空港・港湾に関する政府の考えを説明した。八重山のどの空港・港湾を指定するかに関して具体的な言及はなかった。
石垣市側は新石垣空港の滑走路延長を県に要請していることを伝えた。同空港は県が管理していることから、国側は今後、県と調整する考えを示したという。
市側は港湾整備の進ちょく状況も報告した。石垣市の運道徹建設部長は取材に対し「事業が一歩も二歩も前進するのではないか」と期待感を示した。
竹富町の田代仁総務課長は取材に対し、関係省庁の職員来訪について「インフラ整備を進める国の方針を説明しに来たと認識している」と話した。波照間空港や町内の各島の港湾はすべて県管理だが、町は県から管理業務の委託を受けているため、特定重要拠点についての説明に訪れたと推測した。
与那国町も特定重要拠点の枠組みによる空港や港湾の整備に期待感を示しているが、町は現時点で関係省庁職員の来訪予定はないとしている。
石垣市、竹富町、与那国町は県に対し、新石垣空港、波照間空港、与那国空港の滑走路延長を要請しているが、県側は民間の需要が見込めないとして難色を示している。