八重山漁協所属の漁船「鶴丸」が16、17の両日、石垣市の尖閣諸島周辺に出漁したことを巡り、中国海警局は中国国内の短文投稿サイト・微博(ウェイボー)で鶴丸を名指しし、巡視船と共に「中国領海に侵入した」と発表した。鶴丸に対し必要な措置を講じ、退去するよう警告したとしている。鶴丸に乗船した石垣市議の仲間均氏は19日、八重山日報の取材に応じ「中国は、うそを根拠に尖閣を乗っ取ろうとしている」と反論した。
中国海警局は7月にも、尖閣海域に出漁した別の漁船を名指しし「中国領海に侵入した」と発表した。漁船名を明らかにすることで、尖閣周辺に出漁しようとする漁業者の委縮を狙っていると見られる。
鶴丸には仲間氏、竹富町議の山下義雄氏ら3人が乗船。石垣島を出港し、16日午後1時ごろ、尖閣諸島の南小島周辺に到着した。尖閣周辺で常駐している中国海警局の艦船2隻は領海に侵入して鶴丸を追ったが、大きく距離を取ったままで、近づく素振りを見せなかったという。
仲間氏らはアカマチなど約150㌔を水揚げ。船上で一泊し、17日午後、石垣島に戻った。中国海警局の艦船は魚釣島と石垣島の中間地点まで鶴丸を追尾した。
仲間氏は「海警は我々を遠巻きに見ていただけ。尖閣周辺から追い払ったかのような発表はうそだ。南シナ海とは違い、尖閣周辺ではまだ日本の力が強く、漁船に手出しできないのではないか」と推測した。
仲間氏の出漁に対しては、日本国内でも「中国を刺激している」と批判する声がある。仲間氏は「尖閣を守るための行動を批判するのは、到底考えられない。自分たちの国をどう守るか、しっかり考えるべきだ」と語気を強めた。
山下氏は「尖閣周辺に中国船が侵入し、漁業者が自由に操業できなくなっている現状はおかしい。竹富町で尖閣に関する話は議会でもなかなか出ないが、町民も、もっと意識を持つ必要がある」と強調。今後も仲間氏と共に尖閣周辺への出漁を続ける考えを示した。
仲間氏は、尖閣周辺海域で獲れた魚類をメニューに使う「尖閣食堂」を12月に石垣市でオープンする予定。今回水揚げしたアカマチなども、尖閣食堂の食材に使う。