台湾は現状維持ベスト 民主国家の団結で戦争抑止を 台北駐日経済文化代表処那覇分処・王氏インタビュー④

 ―日本政府に対して望むことは。
 「日本政府に求めたいのは、民主主義国家の団結を促進することだ。ウクライナ戦争が原因で、長年中立を保ってきたスウェーデンとフィンランドがNATOに加盟した。2021年から3年連続でG7(先進国首脳会議)サミットの首脳声明は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸の問題を平和的に解決するよう求めた」
 「民主主義国家の団結は、権威主義国家の冒険的な行動に対して抑止力になる。現在、台湾は国際刑事警察機構、国連気候変動枠組条約、CPTPP、国連等、さまざまな国際組織への参加を積極的に推進しており、ぜひ日本政府にも後押ししてほしい。国際組織を活用することで、問題を対話によって解決し、戦争を未然に防げる」
 ―中国は台湾に「一国二制度」を持ちかけている。香港の惨状を見れば中国という国は信用できないと思うが、王氏の考えは。
 「台湾の人たちは香港の例を見て『一国二制度』は絶対無理だと思っている。民主主義が浸透しており、権威主義国家や共産国家の支配下に置かれることはできない」
 「中国の習近平政権は独裁政権になってしまい、最近では外相、国防相が突然消えた。前首相が急死したのにも台湾の人たちは驚いている。習氏がロシアのプーチン大統領のように『戦争をやろう』と言い出しても、周囲はイエスマンばかりで反対できない。チェック・アンド・バランスが存在する民主主義国家とは違う。重要なのは我々がちゃんと備え、抑止力を確立することだ」
 「中国との関係でベストなのは現状維持だ。そうすることで、戦争より経済に力を入れることができる」
 「八重山の人たちもぜひ台湾に行き、台湾の現状を確かめてほしい。脅威に直面し、有事の雰囲気はあるが、住民は気を緩めず普通に生活している。半導体産業なども発展している。八重山の参考になればうれしい」          (おわり)

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