久しぶりに驚いた。玉城デニー知事が台湾訪問を発表したのに対し、在日本中国大使館の報道官が「断固反対する」と反発したのだ◆知事は台湾政府関係者との面会予定を組まないなど、中国に配慮したとも取れるスケジュール調整をしていただけに「中国には事前に話を通してあるのだろう」と思っていた。なのに先方から「断固反対」などという談話を発表されてしまっては、知事のメンツが立たない。知事がせっかく対中融和的な姿勢を示しているのに、中国も大人気ないことをするものだ◆知事の訪台はアジアの平和構築を目的とした「地域外交」の一環。昨年８月、米国のペロシ下院議長（当時）が訪台し、緊張が一気に高まった際には、県内の基地反対派から、中国を刺激したとペロシ氏を非難する声が挙がった。今回、知事が中国の反発を押し切って訪台を強行するなら、基地反対派は断固知事を批判したほうがいい。そもそも中国を怒らせている時点で、今回の訪台は県が言う「地域外交」の目的から逸脱するのではないか◆いずれにせよ最大の問題は、日本の知事の外国訪問にいちいち口出しする中国の傲慢さにある◆大国であることを振りかざす態度が続く限り、知事はともかく、県民の民心が中国になびくことはない。