八重高、3年越し聖地に 全国元球児野球が開幕 きょう龍谷(佐賀)と交流試合

場内を行進する八重山高OBチームの皆さん=29日、甲子園

 新型コロナウイルス禍の影響で戦後初めて中止を強いられた2020年の全国高校野球大会(甲子園)を3年越しに実施しようと、当時の選手らが企画、運営する「全国元高校球児野球大会」は29日、開幕した。初日はシートノック、入場行進が甲子園で行われ、県代表の八重山高OBチームはノック1番手で登場。球場を沸かせた。

 朝8時、朝日が外野スタンドを照らす中、胸に「YAEYAMA」の刺繍が入ったユニフォームに身を包んだ20人が堂々と入場。「行くぞ」との声出しが球場全体に響いた後、ノッカーの下地寛正OB会副会長(53)が右に左にゴロを打ち、選手ははつらつとさばいた。
 県独自大会を制した3年前に主将を務めた内間敬太郎さん(20)=金沢学院大3年=は「まっさらな土の上で、自分たちが最初にノックを受けられてうれしく思う。楽しむことが大前提だった。『いつもの感じ』でプレーできた。これで甲子園に出られない夢を見ないで済む」と充実感をにじませた。
 下地寛太郎さん(21)=共栄大3年=は、下地副会長の息子。参加が叶わなかった兼島兼哲監督(当時)に代わりノッカーを務めた父の打球を受け「最高だった。憧れていた場所で、父と野球ができた」と破顔。「小さい頃から(テレビで)見ていた甲子園にいるんだ」とまだ半信半疑だった。
 県大会で優勝しながら、甲子園に行けない不条理を受け入れざるを得なかった内間さんら。聖地の土の感触をかみしめるように、5分間のノックを楽しんだ。
 全出場チームのノックが終わった後、入場行進とセレモニーが執り行われ、八重高は保護者がスタンドで涙を流しながら見守る前を、一糸乱れぬ足取りで進んだ。
 同大会は「あの夏を取り戻せ」をスローガンに、2020年当時に高3だった全国の球児らが運営委を組織し、入念なオンラインでの打ち合わせを経て開催にこぎつけた。運営委には八重高から東川平亮輔さん(21)=仙台大3年=も名を連ねた。
 「どのチームも、(選手が)卒業してバラバラに散っていると聞いた。八重高は、ライングループを再稼働させて『練習を始めろよ』と呼び掛けると、反応が良かった。絶対に大会を成功させたかった」と東川平さん。まとめ役として役割を完璧に果たした。
 大会は30日から交流試合の日程に入り、八重高は同日、明石トーカロ球場での第二試合で龍谷(佐賀)と90分間の試合を戦う。松川涼翔(りょうが)さん(21)=帝京大3年=は「できなかった試合を、全力で楽しむ」と待ちきれない様子だった。
 交流試合は無料で入場でき、「スカパー」でも無料公開される。
 https://baseball・skyperfectv・co・jp/re2020/

関連記事

八重山日報公式 X(Twitter)

ユーグレナ シルバー人材センター たびらいレンタカー ecovillage アイン薬局 ひとし眼科 嶺井第一病院 とみやま耳鼻咽喉科 ヒデ整形クリニック
ページ上部へ戻る