拠点空港・港湾指定に県慎重 有事で「攻撃対象に」と懸念 与那国は「機能拡充を」

 台湾有事に備え、政府が安全保障上必要性の高い県内の空港・港湾を「特定重要拠点空港・港湾」(仮称)に指定しようとする動きを見せていることに対し、玉城デニー県政は慎重な姿勢を示している。知事を支持する与党などから、有事の際、攻撃対象となる可能性を危ぐする声が挙がっているためだ。7日、与那国町の糸数健一町長が県庁を訪れ、指定による町内空港・港湾の機能拡充を要請したのに対し、池田竹州副知事は「(特定重要拠点空港・港湾の指定には)懸念の声があることも事実だ」と述べ、政府に疑問点を照会していると説明した。

 特定重要拠点の指定には有事に備え、自衛隊、海上保安庁が空港・港湾を円滑に使用できるよう、インフラ整備を進める狙いがある。政府は八重山では新石垣空港、波照間空港、与那国空港や複数の港湾を特定重要拠点に指定する方向で検討していると見られ、関係省庁の職員が県庁や3市町を訪れて制度を説明している。
 石垣市、与那国町は指定を受け入れることで、空港の滑走路延長を事業化したい意向。だが県は6日の県議会で、与党の代表質問に対し、県内空港・港湾の指定について「有事の攻撃対象になる可能性も含め、制度の詳細を国に照会している」(溜政仁知事公室長)と答弁した。
 空港・港湾の軍事利用に反対する県が指定に慎重な姿勢を示した場合、新石垣空港や与那国空港の滑走路延長は事業化が停滞する可能性もありそうだ。
 池田副知事は7日の糸数町長との面会で、与那国空港の滑走路延長や、町内での新たな港湾整備について「民間空港、港湾としての需要予測を踏まえながら町、国と連携し、どういう形ができるのか検討したい」と強調。
 特定重要拠点の指定に際しても、通常の空港・港湾整備と同様に、費用対効果の視点が求められると指摘した。県の問い合わせに対し、政府側も費用対効果の視点は「当然必要になる」と回答したという。
 糸数町長は「(指定は)千載一遇のチャンス。何でもかんでも自衛隊の増強に結びつけるのではなく、与那国に住む我々が、安全で豊かに暮らせる施策を講じてほしい」と求めた。指定による空港・港湾の整備について「八重山3市町の思いは一つ」とも強調した。
 同席した大浜一郎県議は「県は需要予測というが、整備しないと需要がついてこないこともある」と県の姿勢に不満を示した。
 池田副知事は「県民のためにも、明らかにすべきことは明らかにして、疑問がない形にする必要がある」と慎重な姿勢を崩さなかった。

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