「整備早まるなら構わない」 拠点空港・港湾指定で 糸数町長

 与那国町の糸数健一町長は7日、県庁を訪れ、町内空港と港湾の機能強化などを求める要請書を池田竹州副知事に渡した。要請後、報道陣の取材に対し、国が町内空港と港湾を「特定重要拠点空港・港湾」(仮称)に指定して整備する方針を検討していることについて「整備が早まるなら、それで構わない。整備をしたら台湾有事が起こる、ということはあり得ない」と述べ、指定を受け入れる考えを強調した。
 要請書では、与那国空港の大型機対応を想定した滑走路延長とエプロン拡張、静穏度を確保し、より大型の船舶を入港可能とするための新たな港湾整備を「早急に実現したい」と求めた。
 整備は国が想定する国民保護のほか、台湾などとの国際交流促進を通じた町の自立、活性化を図るための基盤になるとしており「町の悲願」と表現。県に対し、国が協議を求めてきた際は建設的に応じるよう要望した。
 県は空港・港湾の将来的な需要予測を念頭に整備を検討すべきとの考えで、過去の要請に対し、与那国空港の滑走路延長などに難色を示してきた経緯があり、町とは温度差がある。
 糸数町長は「ニワトリが先か、卵が先かの議論では困る。需要はあるが、民間ではできないインフラ整備だ」とくぎを刺した。
 特定重要拠点として空港・港湾が整備された場合、自衛隊だけでなく米軍も使用する可能性を指摘する声もある。報道陣の質問に対し糸数町長は「国の専権事項であり、私がコメントする立場にはない」とした上で「国や自衛隊が必要とすることに、私は反対しない」と明言。「(空港・港湾を)平和的に活用し、安心安全で豊かに暮らせる島にしたい」と期待した。
 県が指定に慎重な姿勢を示していることについては「国も県の頭越しにはできないと思う。県の理解を得ないとまずいことは、国も分かっている」と述べた。

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