新日本婦人の会石垣支部のメンバーが石垣市内の県立高校敷地に無断で立ち入り、生徒にビラを配布した問題で、市議会与党の高良宗矩氏が11日、敷地に立ち入ったメンバーの1人である井上美智子市議(共産)に説明を求める動議を出した。動議の上程は本会議で認められたが、野党が猛反発し紛糾。高良氏はいったん動議を取り下げた。
この日の一般質問開始前に高良氏が動議を提出し、与党が賛同した。高良氏は「市議の立場で、法を犯すようなことをしたなら説明する必要がある」と求めた。
野党は「政治家個人の政治活動に、いちいち対応するのが望ましいのか。前例になる」(宮良操氏)、「(高良氏は)司法でも警察でもない。違法行為とは断定できない」(砥板芳行氏)などと反論。
また「現場には他のマスコミもいたが、報道したのは八重山日報だけじゃないか」「新聞の取材だけでこんなことをやるべきじゃない」「怪文書やSNSの情報でも説明させるのか」「議員が動議で他の議員に説明させることができるのか」などと激しく抵抗した。
議会運営委員会では動議は否決された。しかし本会議では、動議を議案として取り扱うことに与党10人が賛成、野党と中立会派「未来」10人が反対し、賛否同数となったため、我喜屋議長が可決を決めた。
野党は「議長は議会運営員会を尊重すべきだ」と議長の判断での可決に異論。さらに高良氏が本会議で「井上市議に説明を求める動議」を提案しながら、議会運営員会では「説明を求める決議」と発言したため、整合性が取れないとして動議の不成立を主張した。
これを受け、高良氏は12日に改めて動議を出し、井上氏に説明を求める決議を提案するとしている。
与党の友寄永三氏は一般質問の所感で「『赤紙が配られる世の中にならないように』と言いながら自分が配るのはジョークなのか。戦争を起こさないためには自衛隊を充実させ、抑止力を向上させるのがベストだ」と指摘した。