玉城デニー氏の風は、沖縄の「保守地盤」とされる石垣市でも吹いた。佐喜真淳氏の得票がトップになることは織り込み済みだったが、玉城氏が633票差に肉薄したのだ。佐喜真氏の八重山選対幹部も「予想外だ」と驚く◆石垣市と同じく、保守が強いとされる宮古島市では佐喜真氏が2353票差をつけ「順当勝ち」だったから、余計に石垣市での「番狂わせ」が目立つ◆知事選と同時の県議補選と比較すると、佐喜真氏の得票は、自民党の大浜一郎氏が獲得した票より361票少ない。石垣市では無党派層に加え、大浜氏の支持者で玉城氏に投票した人もかなりの数おり、それが今回の健闘につながった可能性が高いことを示している。つまり「自公」の基礎票が崩れていたのである◆米軍基地のない石垣市では、普天間飛行場の辺野古移設問題は沖縄本島ほど有権者に重視されない。佐喜真氏の八重山選対は「故・翁長雄志氏の弔い合戦ムードが高まったこと以外に考えられない」と首をかしげる◆しかし那覇市長などを長く務めた翁長氏はもともと宮古、八重山との縁が薄く、なぜ石垣市だけで玉城氏の得票が伸びたのか、結局のところは判然としない。ただ佐喜真氏が勝利できなかった理由は、こんな部分にも表れているのではないか。