石垣市議会(我喜屋隆次議長)の臨時会が16日開かれ、県に対し、石垣空港の機能強化に向けた予算措置を求める意見書を与党・中立の賛成多数で可決した。市議会は12月議会にも同様な意見書を可決したが、県が予算措置に応じない姿勢を示したため、与党が再度、意見書を提出した。空港の機能強化は「台湾有事を含む武力攻撃や自然災害等に対する万全の態勢を構築するため」と訴え、県に対応を迫っている。
台湾有事の懸念が強まったことを受け、政府は2023年、自衛隊、海上保安庁が平時から円滑に利用できる「特定重要拠点」として新石垣空港など県内空港・港湾の機能強化に乗り出す方針を打ち出した。ただ空港管理者の県はインフラの軍事利用を警戒。特定重要拠点の指定に同意していない。
市議会の意見書は再度、地元自治体として滑走路延長を望む意思を示し、県に再考を促す狙い。機能強化の具体的な内容としては、空港滑走路の800㍍延長、エプロン拡充などを挙げ、調査の実施など、早急な予算措置を講じるよう求めた。
滑走路延長に関し、県は昨年12月、来年度の予算措置をしない方針を固めているが、意見書では決定を覆してほしいと明記した。宛て先は知事。友寄永三氏が提案した。
議会運営委員会では野党の宮良操氏が「来年度の予算の骨子は確定している。意見書は時期的に妥当なのか」と疑問視。友寄氏は「要請によって方針が変更され、予算の枠が大きくなった事例もある」と述べた。
本会議で与党の平良秀之氏は「石垣市は島なので、万一の大災害では島外からの支援が必要になる。できることはすべてやるべきだ」と空港機能の強化に賛同。
野党の長浜信夫氏は「機能強化には、自衛隊が平時から訓練に使用するという軍事利用の目的が潜んでいる。県が態度を保留している理由もそこにある。我々は、もっと冷静に向き合う必要がある」と意見書に反対した。
野党の内原英聡氏も「石垣市が滑走路延長を望んだという形に国が持っていこうとする構図が見え隠れする。本当に市民のニーズがあるのかも疑問で、必要性はない」と糾弾した。
採決では与党と中立の13人が賛成、野党7人が反対した。
市は八重山市町会や美(か)ぎ島美(かい)しゃ市町村会の枠組みを通じ、台湾有事の懸念が浮上する前の2018年から県に新空港の滑走路延長を要請しているが、県は民間需要が不透明であることを理由に具体的な動きを見せていない。