27日午前10時ごろ、石垣市大川の焼肉店「いしなぎ屋」やアパートなどが入居する3階建て建物から出火、2階部分約60平方㍍が焼けた。焼け跡から男性とみられる遺体が発見された。火は通報から約3時間後の午後1時すぎに消し止められた。八重山署や市消防本部が出火原因を調べている。
消防本部によると、午前9時54分、建物の向かいに住む男性の家族から「2階が燃えている」と119番通報があった。全焼した2階部分は、大家の石垣宗憲さん夫婦の住居で、石垣さんと連絡が取れないことから、死亡したのは石垣さんとみて身元の確認を急いでいる。石垣さんの妻は避難したが、煙を吸い込んで病院で治療を受けたという。
1階の店舗は営業前で客はいなかった。3階にはアパート3室があり、3世帯4人が居住。中央の部屋の男性一人が火災に気づくのが遅れて取り残されていたが、消防隊員が男性を誘導し、階段を使って無事救助された。
火は約1時間経っても燃え続け、消防車、救急車合わせて9台、消防隊員約20人が出動。放水を続ける一方で、ボンベを背負った消防隊員が続々と建物の中に入っていった。現場は住宅街で、近くに黒い煙が広がったために騒然となった。近くのアパートに住む高齢者を、近隣住民らが毛布を掛けて安全な場所に避難させた。
建物から数㍍の場所に住む男性(76)は「大きい声で『火事だ』と聞こえて家から飛び出したら、火があがっているのが見えた。我が家にもプロパンガスがあるので燃え広がって爆発しないか不安だった」と声を震わせた。
正午過ぎ、2階寝室から逃げ遅れたとみられる男性が発見され、その場で死亡が確認された。目が不自由だったという情報もある。
石垣市内では、年始に2日連続で発生した太洋リネンサプライ工場の火事に続くことし三度目の火災に、住民の間では「自分たちも気を付けないと」と、不安の声が上がっている。
消防本部は現時点で「現場の状況から火の不始末が原因ではないか」とみている。
28日に八重山署とともに現場検証を行い、詳しい出火原因や正確な延焼面積などを調べる。