米軍普天間飛行場の辺野古移設問題では「沖縄県民の民意を聞け」と国に訴える玉城デニー県政だが、離島５市町村がそろって要請した空港、港湾の機能強化に対しては、首を縦に振ろうとしない。地元のインフラ整備を熱望する「離島の民意」は直視しないのか。玉城県政は「民意」を都合良く使い分けている、と思わざるを得ない◆国が空港・港湾を「特定重要拠点」として整備しようという構想に対し「自衛隊の利用計画が不明」「沖縄振興予算に影響する可能性がある」「空港・港湾が軍事利用されれば、有事の際に攻撃対象となる懸念がある」などと疑問符を突き付けた玉城県政。国との調整は続けるようだが、これだけ「できない理由」を並べ立てられれば、当分の間、同意することはなさそうだ◆新石垣空港や与那国空港の滑走路延長は地元が何度も要請してきたが、県は費用対効果を理由に応じてこなかった。翻意を求めるなら、離島住民も相応の覚悟が必要だ◆今回の事態を、表面的に政治的な対立と捉えるべきではない。実はもっと根深い◆県政の保革を問わず、離島住民の要請より、本島を基盤とする支持層の意向が優先される「離島軽視」の問題がひそんでいる。県の対応は離島住民にとって、既視感がある光景ではなかろうか。