玉城デニー知事は14日開会した県議会2月定例会で、2024年度の所信表明演説をした。有事を見据え、自衛隊、海上保安庁が円滑利用できるよう政府がインフラ機能を強化する「特定利用空港・港湾」(特定重要拠点)の指定に対し「整備に係る予算計上方法や整備後の運用などについて、県民に強い不安の声がある。政府に対し、しっかりした説明を求めていく」と強調した。
玉城知事は特定重要拠点の指定に対し、一貫して慎重姿勢を示している。所信表明では指定に同意する可能性を完全には否定しなかったものの、現時点で応じない考えを改めて示した形だ。
陸上自衛隊石垣駐屯地開設などの自衛隊配備、大規模な日米演習、特定重要拠点の指定に向けた動きについて「抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずることを懸念している」と指摘。「米軍基地の集中に加え、自衛隊の急激な配備拡張により、沖縄が攻撃目標になることは、決してあってはならない」と訴えた。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を改めて強調。「ブレることなく県民の先頭に立つ」と表明した。トークキャラバンなどを通じた国民的議論の喚起、地方自治法の改正、訪米を通じた米国への働き掛けなどを図る考えも示した。
演説によると、地域外交室を「平和・地域外交推進課(仮称)」に格上げし、アジア・太平洋地域の平和構築と相互発展に貢献するため「地域外交」を推進する。
中高生のバス通学日支援、学校給食費無償化など、子どもに関する施策の充実に努める。
「県防災危機管理センター」(仮称)の整備や消防防災ヘリの導入に向けた合意形成に取り組む。離島振興に向け、交通・生活コストの負担軽減、医療提供体制の充実・確保などの定住条件整備を進める。
無電柱化は特に離島で一層の推進を図り、新設する「沿道景観推進室(仮称)」で街路樹などの適正管理を強化する。
こども未来部に「女性力・ダイバーシティ推進課(仮称)」を設置し、困難な問題を抱える女性への支援を効果的に実施するための基本計画を策定する。
企業の「稼ぐ力」の強化と産業振興、持続可能な観光地形成などの施策も掲げた。