政府が有事を想定して自衛隊や海上保安庁が円滑に利用できるよう重点的に整備を進める「特定重要拠点」の指定候補に竹富町の波照間空港が入ったことを巡り、波照間空港を軍民共用に使用させたくない住民の賛同者会(東金嶺肇代表)のメンバー3人が22日午後、前泊正人町長に「島民の約7割が軍民共用に反対」とするアンケート結果を報告。特定重要拠点の指定に伴う滑走路延長を行わないよう要求した。
メンバーはアンケート結果を踏まえ、空港を軍民共用に使用するための滑走路延長は認めず、軍事的な訓練場所として使用させないこと、他市町と同調せず町は反対の意志を表明する―ことを訴えた。反対の意思を町に伝えるための住民説明会を開催することも求めた。
前泊町長は県からの意見照会は来ていないと前置きした上で、住民説明会については「(国、県からの)情報はほとんどないが、意見を直接の声を受けにうかがいたい」と応じた。
竹富町は石垣市、与那国町などと共に5市町で県に特定重要拠点指定を受け入れる要請をした。前泊町長は「公民館から20年来の要請があり、滑走路の延長はこれからの島の発展のためには必要と判断した。運用に向けて動くにはこのタイミングだ、と連携して要請している」と説明した。
東金嶺代表は「波照間の民意が反映されず要請をされては軍民共用の使用を認めることになる。後々、軍事利用が習慣化され訓練が継続すると民間航空機に影響も及ぼしかねない」と懸念を表明。町には民意を尊重するよう訴えた。
政府は特定重要拠点に指定される空港や港について、新たに軍民共用や自衛隊の拠点化を図るものでなく、あくまで民生利用であると強調。自衛隊の使用頻度は「年に数回程度で、平時において優先利用を想定しておらず、民間の利用を妨げるものではない」などとしている。
アンケートは1月29日~2月3日の期間に、島内在住者331人に配布。233枚を回収し、回収率は70・4%だった。1月末時点の島民は462人で、18歳以上は380人。