台湾有事を見据えた取り組みの一環として、石垣市の中山義隆市長は6日、防衛省を訪れ、木原稔防衛相に対し、市が新年度から計画しているシェルター整備への支援を要請した。市によると木原防衛相は、シェルターについて「国民保護、島民保護の観点から必要」と述べ、市に協力する考えを示した。中山市長は「島しょ防衛体制強化のため」として、水道事業の推進に防衛予算を活用したい考えも伝えた。
中山市長は2024年度の施政方針演説で、市役所隣に防災公園を整備し、地下に災害時や有事の避難所として活用できる職員駐車場建設を進めると表明した。事実上のシェルターとなる。
木原防衛相に提出した要請書では、台湾有事の懸念に言及。離島自治体は住民避難の完了まで時間を要する可能性が高く、その間、住民の生命・身体を守るための避難シェルター整備が必要だと訴えた。
市が新設する地下駐車場をシェルターとして使用する計画を正式に公表後、防衛相に対し、支援を求めるのは初めて。
木原防衛相は「シェルターは政府全体で取り組むべき課題と認識している。主な担当は内閣官房になるが、防衛省としても、しっかり協力していく」と言明した。
水道事業に関して中山市長は、不測の事態で物流が寸断され、長期的な飲料水の確保が必要となった場合に備えるべきと指摘。駐屯地開設や隊員宿舎による水需要の増加にも触れた。
通常の国庫補助事業では水道施設の新設整備は困難として、防衛予算を活用した白水原水調整池の整備と石垣浄水場の更新を求めた。
市によると概算費用は白水調整池が1池当たり50億円、石垣浄水場が110億円。優先順位は白水調整池、石垣浄水場の順とした。
木原防衛相は水道事業への支援について「地域の特性も踏まえ、できる範囲で最善の取り組みを検討する」と応じた。
中山市長の施政方針演説によると、防災公園の地下に整備する職員駐車場は24年度に設計業務着手、26年度完成を目指している。駐車場以外にも活用できるイベントスペース設置など、防災公園と一体で相乗効果が出せる仕組みづくりを検討する。