玉城デニー知事は24日、行政視察のため石垣市を訪れ、市役所で中山義隆市長と意見交換した。中山市長は「特定利用空港」指定を見据え、新石垣空港の機能強化など計9項目を要請した。新空港の特定利用空港指定に関し、玉城知事は慎重姿勢を崩さなかった。知事による石垣市の行政視察は1999年以来25年ぶり。玉城知事の就任後は初。
中山義隆市長は空港の機能強化について「国は(新石垣空港の)特定利用空港への指定を目指しているが、県管理空港であり、県が手を挙げないと進まない。必要性の話は論をまたない」と訴えた。経済振興や有事の住民避難を考慮し、早急な対応が必要と指摘した。
特定利用空港に指定されれば国主導で空港機能の強化が進む可能性があるが、この制度は平素から自衛隊が円滑に利用できる仕組みの構築を目的としているため、県は空港管理者として現時点で同意していない。
玉城知事は「指定については防衛省に質問したが、回答が得られていない。さまざまな懸念について、防衛省や沖縄防衛局と協議をしていく」と述べるにとどめた。
尖閣諸島問題について中山市長は「自然環境を守るため上陸調査がしたい。県も体制も整えてほしい」と述べ、魚釣島などの上陸調査が必要と主張。玉城知事に対し、国への働きかけを求めた。専従の対策室を庁内に設置したとアピールし、県も同様の体制を構築するよう提案した。
県側は「2014年に日中間で確認された関係改善に向けた話し合いの合意事項を尊重し、平和的な外交対話で関係改善を求める」と応じた。
玉城知事は新石垣空港、八重山食肉センターなどを視察。明和大津波犠牲者慰霊祭にも参列した。25日は石垣港などを訪れ、帰路につく。
市から県への要請事項は①石垣リゾート&コミュニティー整備の迅速な手続き②空港機能の強化③製糖工場建設への財政支援④石垣空港線事業の予算確保と早期全面供用⑤県の尖閣諸島への取り組み⑥海岸漂着ごみへの対応⑦魚類養殖の種苗供給⑧通学困難生徒への寮費支援⑨石垣島土地改良事業・土地改良事業の予算確保―の9項目。