「日本に武力行使の脅し」 中国船、尖閣周辺で武装強化

 石垣市の尖閣諸島周辺海域では7日、機関砲らしきものを搭載した中国艦船が初めて4隻同時に領海侵入するなど、中国側が武装強化の動きを見せた。東海大学の山田吉彦教授は、背景に台湾有事の備えを固める日本への不満があるとして「『武力行使も辞さない』という一種の脅迫のメッセージを送っていると思われる」と分析した。
 これまで中国艦船の領海侵入には、周辺に常駐する4隻が「パトロール」と称して定期的に行う場合と、周辺で操業する日本漁船を2隻ペアで追跡しながら行う場合の2パターンがあった。
 中国海警局は7日、ホームページで「主権を守るため法に基づくパトロールを実施した」と発表しており、今回の侵入は前者のパターンに属する。ただ、従来は領海侵入した4隻のうち、1隻のみが砲を搭載した重武装の艦船であることが通例だった。
 山田氏は「これまでのルーティンの領海侵入とは異なり、何か特別な事情がある」と指摘。新政権が誕生した台湾に対し、中国が武力による威圧的な行動を強めていることを挙げ「(台湾有事の際)日本が台湾に肩入れすれば、武力行使も有り得るという脅迫だろう」と見る。
 中国艦船はこれまで尖閣周辺で、日本漁船や石垣市の調査船に対して操業や調査の妨害を試みてきた。だが、すべて海上保安庁の巡視船に接近を阻まれている。
 山田氏は、尖閣の侵奪を目指す中国政府がこうした現状に苛立ちを強めているとして、「(艦船の武装強化には)日本側に対する強い姿勢を示し、けん制しようとする意図もあるのでは」と推測する。
 中国海警局は7日、「管轄海域でのパトロールを今後強化する」との報道官談話を発表した。
 台湾情勢を巡っては、中国の呉江浩駐日大使が、日本が台湾の独立に加担した場合「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言。日本を武力攻撃する意図をより直接的に示唆し、物議をかもした。

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