八重山の夏を彩る一大絵巻、石垣島の四ヵ字(登野城、石垣、大川、新川)豊年祭ムラプールが29日午後、市内の真乙姥御嶽(マイツバオン)で行われた。各字民が今年の豊作に感謝し、来年の五穀豊穣(ほうじょう)、地域発展、子孫繁栄を祈念した。
曇天の下、涼しい気候の午後3時前から、各字民が旗頭と共に続々と真乙姥御嶽の前に集まり、ムラプールが始まる午後3時半には多くの人でにぎわった。
御嶽の中で神司や主催者の新川公民館関係者、来賓が見守る中、各字や参加団体が順番に旗頭や巻踊りを奉納した。
新川は記旗(シルシバタ)を持った稚児を先頭に老若男女の字民が列を作り、順番に巻踊りを行いながら御嶽の中に入った。字民の行列が来賓や神司、公民館関係者の前を円を描くように練り歩き、伝統芸能を披露した。
続いて、双葉自治公民館、大川、石垣、登野城、JAおきなわ、石垣島製糖、石垣市役所、八重山農林高校、石垣中学校が旗頭、巻踊りを奉納した。
各字、参加団体の奉納の後は東から五穀豊穣の神が、西から巫女が登場し「五穀の種子授けの儀」が行われた。
次は各字会の女性たちが参加する「アヒャー綱」が行われ、女性たちが「サーサーサーサー」と歌い舞う中、今年の「ブルピトゥ(棒貫人)、國吉輝子さん(69)が登場。緊張した様子だったが、周囲の女性たちが励まし、御嶽前で一礼。神司から「ブル棒」を受け取り、高く突き上げながら女性たちと合流。そのまま、大綱に上り、舞い踊ると会場の盛り上がりは最高潮に達した。
終了後、國吉さんは「石垣全体の五穀豊穣と来年の豊作、子孫繁栄、皆の健康を祈念した。嘉例(かりー)もつけたい」とふり返った。
川平孝子さん(70)は國吉さんと抱き合い、うれし泣き。「國吉さんは同級生。ブルピトゥは人徳の高い人しか選ばれない名誉な役目。大役を務めて誇らしい」とたたえた。
「アヒャー綱」の後は、2人の武者が演舞するツナヌミンを闇夜の中で実施。続いて、各字民や観光客が東西に分かれて大綱引きを行い、今年は西が制した。