玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力が衆院沖縄4区の候補者を一本化するための公開討論会(主催・オール沖縄衆院選沖縄4区選考委員会)が12日、大濱信泉記念館で開かれた。地域政党「沖縄うない」の比嘉京子氏(73)、れいわ新選組の山川仁氏(49)、立憲民主党の金城徹氏(70)が参加した。3氏とも南西諸島で政府が進めている抑止力の強化に反対。有事を見据え、自衛隊が利用しやすいよう公共施設のインフラ機能を強化する「特定利用空港・港湾」の指定も阻止する方針で一致した。
選考委は3氏に対する事前質問として、陸上自衛隊第15旅団の師団化や、宮古、八重山で急速に進む自衛隊配備の動きに対する考えをただした。
比嘉氏は「防衛力強化がかえって周辺国との軍拡競争を招いて、戦争リスクを高める。中国脅威論が喧伝されるが、1972年の日中共同声明では、台湾が中国の一部であることを両国が確認している。戦争の準備ではなく、平和の準備をする1議席でありたい」と訴えた。
山川氏は「ミサイル配備を進めて島民が豊かになるのか」と疑問視。陸自配備を巡る住民投票が実施されていないことに「先島の自己決定権が失われている」と指摘した。「徹底した平和外交を行う。軍事費支出は中止し、非軍事の『メイドイン先島』に未来への投資をしたい」と強調した。
金城氏は「紛争が生じてからの住民避難が現実的に可能かという疑問が付きまとう。国民保護の主体は自治体とされ、自治体の重い負担となっており、国民保護法が不十分なことが明らかだ。政府の野放図な軍拡に、住民の視点で一定の歯止めをかけていく」と批判した。
新石垣空港などの指定が取り沙汰される「特定利用空港・港湾」についても選考委が3氏の考えを聞いた。
山川氏は「専守防衛を超えている。離島振興に資する整備ではなく、有事を見据えた取り組みだ。台湾有事ありきの空港・港湾整備は絶対認めることはできない」と反対を明言。
金城氏は「自衛隊や米軍が使いやすいように整備することが主目的で、有事の国民保護には使えないインフラとなりかねない」と指定を認めず、政府の政策転換を要求した。
比嘉氏は「民間空港・港湾は軍事目標となり、軍民分離の原則が適用されなくなる。日本政府は住民を人間の盾として利用するつもりではないか」と危機感を示し、改めて指定に反対した。
選考委座長の照屋大河県議は「巨大な権力を持つ与党の候補者を4区から国会に行かせてはならない。オール沖縄で団結して選挙運動をやっていこう」と呼び掛け、8月中に候補者を1人に絞り込むスケジュールを目標に掲げた。
ほかに、3氏のクロス討論などが行われた。
公開討論会は4日、糸満市で開かれており、石垣市は2回目の開催地。13日には宮古島市で開かれる。