独特な旋律に、恋や人生の悲喜をのせて歌う八重山民謡の最高峰「2024年度とぅばらーま大会」(主催・同実行委員会)が15日夜、石垣市民会館大ホールで開催された。大会には予選会から選ばれた20人と、関西予選の最優秀賞者1人の計21人が出場。舞台バックに設けられた十三月を背に、それぞれの思いを込めたとぅばらーまを熱唱。最優秀賞に宮良あゆみさん(25)=字川平=、優秀賞に東輝文さん(50)=字川平=、友利宇宙さん(35)=字登野城=、努力賞に米盛ミチ子さん(72)=字白保=が選ばれた。
大会は「とぅばらーま」を後世に継承し、観光資源として広く発信することが目的。今回で78回目。毎年旧暦の8月13日に開催している。今大会は台風13号の接近が懸念されたことから会場を新栄公園から市民会館大ホールに変更しての開催となった。
最優秀賞の宮良さんは字川平出身。高校3年で大会に初出場し、優秀賞は2度受賞。今回悲願の最優秀賞を受賞した。
受賞を受け「歌うことが難しいとぅばらーまで、最優秀賞をもらえてうれしい」と笑顔を見せた。
歌詞は「月と太陽が同じ道を通るように、私もあなたの心も同じ道を通りますように」の意で、月と太陽の情景を思い浮かべながら歌った。「先人の方々の歌を引き継げるように」との思いを込めた。
自身は今年度の竹富町デンサ節大会でも最優秀賞を受賞。「自信になった。とぅばらーまに向けても気合いを入れて練習した。自分が表現できたかな」と微笑んだ。
「ここがゴールじゃない。歌を磨きながら、歌を残していけるような一人になれるようになりたい」と将来を見据えた。
横目博二審査委員長は「『たのーる』はとぅばらーまに限らず、やいま歌に求められる。普段の稽古で『たのーる』を追求していけば、きっと素晴らしいやいま歌が歌えるようになる」と講評した。
大会では、作詞の部で入賞した受賞者の表彰式が行われ、中学生の部は中学生ら、一般の部は歴代の歌唱の部の優勝者らが受賞作品の歌詞を歌った。
作詞の部で最優秀賞を受賞した廣田律子さん(70)=神奈川県川崎市麻生区=は、自身で歌い「お月さんに行った人たちに届くように歌った」と心情を語った。
大会の様子はユーチューブでもライブ配信された。