【視点】4区 安保政策が住民の課題に

 衆院選沖縄4区は尖閣諸島を抱え、台湾に近い八重山を含むため、日本の安全保障政策がそのまま住民の生活課題として争点になる。その意味では全国稀有の選挙区と言っていいだろう。
 宮古、八重山メディアは合同で、4候補者に対するインタビューを行い「台湾有事」への考えなどを聞いた。
 「台湾有事」という言葉が日本国内で大きくクローズアップされたのは、安倍晋三元首相が「台湾有事は日本有事」と発言したことがきっかけだ。
 立憲民主党の金城徹氏は「中国の覇権主義には賛成しないが、台湾有事を喧伝して住民が安心していられるのか」と述べ、台湾有事を起こさせないための外交努力を求めた。
 れいわ新選組の山川仁氏は「今の政府には、台湾有事を起こしたくなくても起こすような『当たり屋』的な政治家が多い」と自公政権の対中政策に苦言を呈した。
 平和外交を前面に訴える金城、山川仁氏に対し、他の2氏は抑止力の強化に重点を置いた。
 自民党の西銘恒三郎氏は「同盟国、価値観を共有する国でバランスを取り、中国の習近平国家主席に、絶対に誤った判断をさせない」と、対中抑止の必要性を強調した。
 日本維新の会の山川泰博氏は「台湾有事は日本有事」という安倍氏の発言を肯定。抑止力強化が必要としたが、現在の自衛隊増強は住民への説明が不十分だとくぎを刺した。
 中国は台湾統一のため、習主席自ら「武力行使も辞さない」というメッセージを繰り返し送っている。また、石垣市の尖閣諸島を侵奪するため10年以上、尖閣周辺海域に艦船を派遣し続けている。
 台湾だけでなく尖閣諸島も含め、この地域の現状を実力行使で変更しようとする中国政府の意思は強固だ。
 平和外交と抑止力強化は車の両輪としていずれも欠かせないが、抑止力をバックに持たない外交は無力だし、抑止力のみで押し切ろうとすると事態は天井知らずにエスカレートする。
 バランスの取れた対中政策を展開し、日本の平和を守れるのはどの政党か、それぞれの候補者の発言から読み解きたい。
 自衛隊や海保が利用しやすいようインフラを整備する「特定利用空港・港湾」指定に関しては、西銘氏、山川泰博氏が賛成、金城、山川仁氏が反対と意見が分かれた。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関しては、西銘氏が容認、山川泰博氏は埋め立てが完成した部分の活用を認める「消極的容認」、金城、山川仁氏が反対を表明している。
 4氏とも沖縄本島を地盤とする政治家であるだけに、インタビューを聞く限り、離島振興に関しては急ごしらえだったり、総花的な政策を並べただけという印象は否めない。
 沖縄の課題は大きく分けて基地問題と沖縄振興だと言われる。離島の有権者自身が強力な働き掛けを続けなければ、離島振興は沖縄振興の数あるカテゴリーの一つとして埋もれてしまいかねない。

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