【視点】沖縄は自公の実質勝利か

 ▽政権交代含み
 衆院選は自民、公明が全465議席中215議席にとどまり、過半数を割り込んで少数与党に転落した。石破茂首相は政権維持に向け、国民民主党などの野党と連携を模索する方針だが、現時点で自公との連立に応じる野党はなく、政局は一挙に流動化した。
 特別国会の首相指名選挙では、石破首相だけでなく野党第一党である立憲民主党の野田佳彦代表も首相を目指す意向を示している。野党同士の連携が進めば、政権交代含みの展開も予想される。
 自公の直接的な敗因は「裏金」問題による政治不信の拡大だ。物価高騰による生活苦、増税路線への不安、旧統一教会問題などもあいまって、自公政権へのかつてなく厳しい評価となった。
 衆院選で大敗した石破首相が続投できるかも焦点の一つだが、自公が少数与党のまま首相指名を勝ち取り、そのまま政権運営することは理論上可能だ。
 だが社会保障や防衛強化に向けた増税など、与野党間で大きな隔たりがある懸案では法案を通すことができない。少数与党の政権は、早晩行き詰まる可能性が高い。
 政権が追い詰められると、民意を問うべく来年の参院選に合わせた衆参同日選や、さらに早いタイミングでの再度の衆院選もあるかも知れない。最悪の場合、選挙が何度も繰り返され、どの党も多数を獲得できない状況が延々と続くケースも有り得る。
 どの党も責任をもって政策を断行できず、重要課題がすべて先送りされる「決められない政治」、選挙目当てで減税やバラマキといった有権者受けのいい政策のみに奔走する「衆愚政治」など、民主主義の負の側面があらわになるかも知れない。
 いずれにせよ今回の選挙結果は、有権者の厳粛な審判である。与えられた条件の中、各政党やそれぞれの議員が、より良い日本の将来のためどう行動するか、政治の質が問われる。日本にとっての正念場でもある。
 ▽沖縄4選挙区は現状維持
 自公への逆風にもかかわらず、沖縄の四つの選挙区では、自公と「オール沖縄」勢力が2勝2敗で現状維持の結果となった。
 1、2区で敗れた自民前職2人がいずれも比例で復活当選したこと、3区の自民前職が「オール沖縄」勢力との大接戦を制し、前回衆院選から連勝したことも併せて考えると、自公の実質的な勝利に等しい。
 「オール沖縄」勢力は4区で野党共闘の枠組みを維持できず、統一候補として擁立した金城徹氏が落選した。一方、候補者選考から離脱して独自に出馬したれいわの山川仁氏は比例で議席を獲得。「オール沖縄」にとっては皮肉な結果となった。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設反対だけでまとまる「オール沖縄」のあり方が、もう通用しないことは、この選挙結果からも明らかだ。
 玉城知事は衆院選の結果を「自公への鉄槌(てっつい)」と語った。だが県民は「オール沖縄」勢力や、玉城県政に疑問を抱き始めている。それに無反省のまま、他人事のようなことを言っている場合ではないだろう。

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