石垣市は29日夜、市民会館中ホールで「新しい博物館に求めるもの」をテーマにした「新博物館建設推進シンポジウム」を開催した。
文化庁の中尾智行氏(博物館支援調査官)が基調講演し、文化的な資源の観覧や体験活動を通じ、地域文化の理解を深める「文化観光」の重要性を指摘。
「文化資源を保存・活用し、観光するため来訪者が増加する。結果的に地域経済が活性化する」と述べ、文化や観光、経済が連携して発展する好循環に期待した。
博物館は、「コミュニティや社会と共創する地域文化の拠点であるべき」と提言。楽しみながら地域住民が参画して博物館を発展させるべきと訴えた。
シンポジウムで市立八重山博物館協議会の大田静男会長は「八重山文化圏をカバーする博物館にし、島の人が誇りに思えるよう展示を行い、博物館は精神的な支柱になるべき」と強調した。
ANA石垣八重山支店の木下省三支店長は「一番重要なのはリアルな世界だ。ファンづくりに力を入れるべき。入場者を増やす前に、すそ野を広げる活動が大事」と強調。「いろいろな価値観や文化、背景を持った人でも楽しめる、世代や地域を超えてコミュニケーションできる博物館が良い」と期待した。
陶芸家の宮良断氏は「観光客が映像や音声で学べる仕組みを導入し、自然や伝統文化を楽しんで体験できれば」と夢をふくらませた。
中野氏は「観光客は、そこにしかない魅力や文化を体験しに訪れる。八重山の文化はユニークでポテンシャルがある」と述べ、博物館が持つ役割も大きいと期待した。
中山義隆市長(代読・知念永一郎副市長)は「博物館は地域の歴史や文化・自然・芸術を伝えるだけでなく、新たな体験や知識を提供する場となる」とあいさつした。