中谷元・防衛相は21日、石垣市の陸上自衛隊石垣駐屯地を就任後初めて視察した。隊員への訓示で中谷氏は、台湾や石垣市の尖閣諸島への圧力を強める中国を念頭に、南西諸島の防衛強化を進める考えを示し「力による一方的な現状変更を許容しないとの、わが国の意思を示す」と強調した。
石垣駐屯地では、西部方面隊の荒井正芳総監や第15旅団の上野和士旅団長、中村康男司令ら陸自幹部が出迎えた。駐屯地の体育館には約400人の隊員が集まった。
中谷氏は訓示で「南西地域の防衛力の強化は喫緊の課題」と強調。「隊員一人ひとりの存在が抑止力の中核。日本の宝だ」と激励した。
那覇に司令部を置く第15旅団の師団化を含めた南西地域の防衛体制強化を進める考えも説明。強化した防衛力は「わが国への武力攻撃の可能性を低下させる。積極的な外交を行う裏付けにもなる」と指摘。防衛と外交が共に効果的に機能することで国の安全保障を実現できるとした。
隊員たちには、国民から信頼されるため、「部隊や組織の空気を萎縮させることなく、指導を行い、責任と自信を持ち、部隊を作ってほしい」と要望。「自衛隊は、いかなる事態でも国民の命と平穏、暮らしを守る。領土や領海、領空を守り抜くことは国の責務。自衛隊の任務」と決意を示した。
竹富町役場では、山城秀史副町長から国民保護に伴う町民避難計画について説明を受けた。石垣市の中山義隆市長、竹富町の前泊正人町長は出張中で、防衛相との面会は見送られた。
中谷氏は22日には波照間島、竹富島を訪問し空港や港湾を視察。与那国島にも向かい、与那国駐屯地を訪れる。糸数健一町長とも会う予定。