沖縄県が「地域外交」の推進に向け、有識者からの提言を受ける「アドバイザリーボード会議」が28日、県庁で開かれ、玉城デニー知事らが出席した。5人の委員からは、外交で沖縄の県益につながる具体的な成果を出すよう求める声が上がった。玉城知事は「沖縄は平和の緩衝地帯を樹立したい」と述べ、今後の地域外交の展開に期待感を示した。
委員は立命館大国際関係学部特命教授の君島東彦氏、日本アセアンセンター事務総長補佐の久保田有香氏、JICA(ジャイカ)沖縄所長の倉科和子氏、日本地域国際化推進機構顧問の高橋政司氏、赤十字国際委員会駐日代表の榛澤祥子氏。
高橋氏は「『交流』ではなく『外交』とうたう以上、あえて成果にこだわり、県民に『こういう成果を持ち帰った』と説明できる外交を」と要望。
また「知事のリーダーシップで地域外交を進めるには、能力を備えた人材育成が不可欠」として、エキスパートを養成するプログラム策定を求めた。
君島氏は、トランプ米大統領の「アメリカファースト」の政策について「撤退戦略をポジティブに打ち出している」と分析。「日本の役割は重くなっている」と訴えた。沖縄については「東アジアの平和の触媒」になり得ると期待した。
久保田氏は、日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の関係に焦点を当てた。日本の経済力や国際的地位が急速に低下する中、ASEANは日本にとってかつてのような支援対象国ではなく「共創パートナー」と指摘。「(地域外交を)もう少し東南アジアについても積極的にやってもらっていい。沖縄にとってもリスクヘッジになる」と訴えた。
榛澤氏は「沖縄の戦後復興の知見を世界と共有する可能性を模索できれば」、倉科氏は「県の人材育成にジャイカの研修をうまく活用してほしい」と提案した。
委員からは、県が昨年11月、韓国済州(チェジュ)特別自治道と「友好協力都市協定」を結んだことを評価する声が上がった。照屋義実副知事は「明治政府が韓国、中国に侵略した。その延長線上で沖縄もという歴史の流れを考えると(済州との交流は)重要なポイントとして抑えないといけない」と述べた。
県は昨年3月「地域外交基本方針」を策定。同年4月には県庁の知事公室内にあった「地域外交室」を「平和・地域外交推進課」に格上げした。