要配慮者、宮古・八重山7600人 武力攻撃想定し図上訓練 県庁

有事を想定した県の国民保護共同図上訓練であいさつする玉城知事=30日午前、県庁

 県は、他国からの武力攻撃が起こる事態を想定し、先島諸島の全住民を九州・山口各県に避難させるための国民保護共同図上訓練を30日、県庁で実施した。国、県、市町村や民間企業など約70団体から、オンラインも含め約400人が参加。県は病気や妊娠など、避難の際に行政の支援が必要とされる「要配慮者」の概数は宮古、八重山で7663人に上ると報告した。

 県、市町村が初めて先島諸島の5市町村で要配慮者の概数を集計した。要配慮者の内訳は在宅5413人、社会福祉施設入所者1374人、入院患者876人。在宅は高齢者、障害者、妊産婦などに区分され、一部重複する可能性もあるという。
 住民の輸送は、八重山が新石垣空港から1日当たり1万485人(25機45便)、石垣港からの船舶で1日当たり最大約420人程度、与那国空港から1日当たり1727人(6機11便)、宮古は宮古空港から1日当たり6645人、下地島空港から1日当たり2832人、平良港からの船舶で1日当たり最大420人程度を想定。
 5市町村の人口は今年1月1日現在の住民基本台帳で11万2337人。ほかに約1万人の観光客などがいると見る。県は平時の2倍超となる1日約2万人の島外輸送力を確保できる見込みで、単純計算では6日程度で避難が完了する。
 海路の場合は那覇港経由となる。沖縄本島と宮古島間の「沖宮海峡」は定期航路がなく、民間チャーター船、NPО保有船、県実習船、自衛隊PFI船、海保巡視船を輸送船の候補とした。ただ県は「大幅な上積みは困難」と見ている。
 図上訓練には避難先となる九州・山口各県の自治体も参加した。非公開で行われた県と出席者の質疑応答では、要配慮者の搬送手段などについて質問が出たという。
 玉城デニー知事は冒頭「平和的な外交を政府に求める一方で、万一の事態への備えは重要」と述べた。
 国境の島々である八重山は台湾に近く、尖閣諸島も抱える。中国が台湾に侵攻する「台湾有事」が勃発すれば、宮古も含めた先島諸島が巻き込まれる恐れがあると見られている。

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