県議会(中川京貴議長)が県ワシントン駐在事務所の活動事業費を盛り込んだ一般関係当初予算案を県に差し戻した問題を巡り、自民党は19日の代表質問で「違法な予算は審議できない」と改めて審議を拒絶した。
駐在事務所を巡っては、2015年に株式会社として設立され、地方自治法などに違反した運営が続いていたことが昨年明るみに出た。
西銘啓史郎氏(沖縄自民党・無所属の会)は「予算全ての審議を否定しているわけではない。一般会計予算は県民生活がかかっている。『(予算全体を)人質に取っている』という報道もあるが、疑義があるものは出すべきではないと言っている」と強調。予算案から駐在事務所関連の経費を削除した修正案を提出するよう改めて求めた。
又吉正義氏(同)も、議会による前年度決算不認定、百条委員会設置、監査請求などの動きを挙げ「行政始まって以来の疑義、異常事態だ。明らかに違法行為があると県も認めているのに(駐在事務所の経費計上は)全く配慮がない」と批判した。
宮城嗣吉総務部長は、総務省に確認した結果として「(議案の差し戻しは)意思表明であって法的根拠はない」と説明。「予算は議会に提出された状態にあることから、地方自治法に基づき、ぜひ審議いただきたい」と求めた。
玉城デニー知事は、前年度から半減させた駐在事務所の活動事業費について「従来の予算ではなく、最低限活動を維持し、より良い形で進める上での予算と言うことで提案した」と述べ、駐在事務所を存続させる方針を重ねて示した。
この日の代表質問で駐在事務所に関しては、県の委託業者から再委託を受けた現地の「マーキュリー社」に①知事訪米の調整や支援②政策専門家とのコミュニケーションに関する助言や支援―の名目で、複数年に渡り年間約1200万円支払われていたことが判明した。
西銘氏は「1200万円払うだけの対価はチェックできているのか」と疑問視。その上で駐在事務所の今後について「米国側から虚偽報告、粉飾決算を指摘され、事務所閉鎖、強制退去にならないよう気をつけてほしい」とくぎを刺した。