政治が行政判断歪めている 「特定利用」県の同意見送り批判 石垣市議会が意見書

新石垣空港の特定利用空港指定を求める意見書の採決で、起立する与党と中立=3日午後、市議会

 国が有事を見据えて進める新石垣空港などの「特定利用空港・港湾」指定に対し、県が同意を見送ったことを受け、石垣市議会は3日の本会議で、県に早期の同意を求める意見書を賛成多数で可決した。県が新空港など3施設の指定に同意する方向で調整しながら、県議会与党の反対で同意に至らなかったことに対し「県の決定プロセスの不透明さを露呈し、政治的な思惑が行政判断を歪めていることを浮き彫りにしている」と批判した。

 特定利用空港に指定された施設の整備費を新年度予算に反映させるには2月中の同意が必要とされていたが、県は2月28日、国に対し「現時点では指定に合意するかどうか、明確に意思を示すことはできない」と伝達した。
 意見書では「知事が地域の住民の安全と生活を軽視し、政局に迎合した結果」「県の場当たり的な対応と優柔不断な判断によって、地域の未来が犠牲にされようとしている」と疑問視した。
 新空港が特定利用空港に指定されれば国の予算を活用したインフラ整備が可能となり、駐機場の拡張、滑走路の改良、ターミナル施設の拡充で雇用創出や関連産業の発展にも寄与すると期待した。長山家康氏が動議で提案した。
 市議会が新石垣空港の特定利用空港指定を求める意見書を可決するのは2024年9月以来、2回目。
 野党からは反対意見が相次いだ。砥板芳行氏は「本土の特定利用空港と、台湾有事の最前線の特定利用空港は全く意味合いが違う。有事の攻撃リスクを考えて判断すべきだ」と強調。
 長浜信夫氏は、特定利用港湾に指定された石垣港に米艦船が入港したことを挙げ「米軍と自衛隊の運用に利用される可能性が危惧される。整備の財源ほしさに住民の不安や懸念を置き去りにしてはいけない」と訴えた。
 宮良操氏は「指定は軍事利用を促進する側面がぬぐえない」、花谷史郎氏は「住民生活を人質に取って予算をつけるロジックに乗ってはいけない」、内原英聡氏は「市がここまで強く指定を働きかけるのは、中央の意向が働いているからではないか」と述べた。
 中立会派「未来」の箕底用一氏は、特定利用指定には反対しないとする一方、指定を求める意見書と、玉城デニー知事への抗議決議を別に提出すべきと求めて意見書に反対した。
 与党は「自衛隊が強要している空港は結構あり、軍事化の懸念は払拭される」(友寄永三氏)、「指定で住民の安心安全がより高まる」(高良宗矩氏)、「指定で予算が付きやすくなる」(仲間均氏)などと賛成討論した。
 採決では与党と中立の11人が賛成、野党と中立の10人が反対した。

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