山田氏「尖閣防衛が有事抑止に」 「海洋保護区」化で国際監視提唱

基調講演で講演した山田吉彦教授=1日、石垣市役所

 東海大学海洋学部の山田吉彦教授は1日に石垣市で開いた同大学の沖縄地域研究センター研究報告会で台湾有事に言及し「尖閣諸島が取られない限り、台湾有事は起こらない」と主張した。日米の潜水艦の能力は圧倒的に中国と差があり、日米が東シナ海の制海権を持っている限り台湾有事は発生せず「むしろ尖閣をしっかり守ることはアジアで戦争を起こさないことにつながる」と尖閣海域の重要性を強調した。「八重山の海を守る~新たなる海洋管理に向けて~」と題した基調講演で語った。
 八重山では2024年12月に与那国と波照間の沖、日本の主張する海域から14㌔入った台湾沖と呼ばれる地点に、中国が海洋調査を行うブイを設置した。山田教授はこの行為に対して「台湾有事に備えた危険なブイ」と指摘。同地点は複数の潮の速度が違う場所に気泡が起きて潜水艦はその下を通るため、観測することの意味合いが強いという。
 尖閣諸島を含めたこの海域は黒潮の流れの真っただ中にあり、この海域のデータを取得することは日本の海域に多大な影響を与える。
 山田教授は「尖閣諸島周辺海域における海流の問題は、実は見えない世界で日米と中国のそれぞれの展開が台湾有事という差し迫った問題の中で起きている」と示唆した。
 石垣市と共に進めている尖閣諸島の海洋調査は海洋環境を守ること理論としており、山田教授は「最終的には海洋保護区にできれば」と提唱。魚釣島を国際的な海洋環境調査の拠点にして、希少な海鳥や魚など生態系を守るために活用し、「国際的な監視の下で両国が軍事展開しない島にすると、海域が安定し台湾有事が遠のく」と主張した。
 「武力ではなく、環境や経済を使って安定させること。国際的な監視下に置いて展開する安全保障でもある。何もしないことでどんどん悪化していくことが尖閣諸島の実態だ」と語った。
 講演では中国海警局と海上保安庁との緊迫した様子を動画で紹介する場面もあった。

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