沖縄県のワシントン駐在事務所が株式会社として設立され、地方自治法などに違反した運営が行われていた問題で、県が設置した調査検証委員会(委員長・竹下勇夫弁護士)の第3回会合が6日、県庁で開かれた。非公開の審議後、報道陣の取材に応じた竹下委員長は、中間報告として、株式会社について「これが正当に設立されたことを担保するものが、今のところ見当たらない」と明らかにした。米国弁護士の吉田大副委員長は、駐在事務所職員のビザ取得に関しても法的疑義を指摘した。
竹下委員長は株式会社の設立について「規定上は知事の決裁が必要と考えられるが、決裁があったことを裏付ける証拠はない」と疑問視。現地法律事務所の弁護士が代理人として行った設立の手続きに関しても「その弁護士に対して代理権が正当に授与されているかどうか、裏付ける証拠が今のところない」と述べた。
株式会社の設立などに関し、県が行った追認の諸手続きに関しても「単純に追認だけで、どこまで瑕疵(かし)が治癒できるか検討が必要だ」と懐疑的な見方を示した。
職員は米国企業に転勤した従業員が対象のL1ビザを取得している。吉田副委員長によると、L1ビザ申請上、職員は現地雇用とされているが、株式会社からの給与の支払いが確認できない一方、職員は米国の所得税について免除手続きを行っている。
吉田氏は「L1ビザは米国での所得があるという前提だが、米国での所得がないと言って所得税の申告をしていないなら、両方とも適法になるのは論理的に難しい。現地法人からの雇用、給与の振り込みという重要な点が確認できないならL1ビザの適法性は大きな問題になる」と述べた。
駐在事務所を巡る問題全般に関しては「法治国家では通常、行政がしたことには書面があり、適法に処理された証拠がある。それが確認できないことが由々しき事態だ」と批判した。
駐在事務所の今後について謝花尚委員は「辺野古新基地建設を止めることや、米兵の事件事故対策を沖縄の声として直接伝え、節目に知事が訪米して直接訴えた取り組みは、事務所があったからこそできたこと」と強調。
さらに「沖縄の情報を米国政府、米国民に届ける大切さは(委員間で)共有している。その上で委員として最終的に判断すると思う」と説明した。
この日は初代副所長と二代目所長からのヒアリングも行った。次回会合は11日に開かれ、事務所設立当時の副知事、安慶田安男氏からヒアリングを行う。ヒアリングの模様は、本人がメディアへの公開を希望しているという。