ジャーナリストの櫻井よしこ氏は8日、那覇市で開かれた公開憲法フォーラムで「日本を取り巻く環境と安全保障」をテーマに基調講演した。「中国を抑止できるのは軍事力だけだ。米国、台湾と手を結び、中国に絶対侵略戦争を起こさせない力と気力を沖縄から発信しよう」と呼び掛けた。
衛星画像から中国の軍事力を分析し「私たちの想像をはるかに超えるレベル。日本と台湾は1000~2000発のミサイルの射程範囲に入っている」と説明。
沖縄県民に対し「中国の軍事情報を知らないと毎日幸せに過ごせるが、目の前で中国がこういうことをしているという情報に接した時、考えが変わると思う」と警鐘を鳴らした。
米国がロシアとウクライナの停戦交渉に乗り出す背景について「膨大な量の鉱物資源をウクライナとロシアから手に入れて、おまけに停戦させて資源を米国の産業に投入すればいいというのがトランプ大統領の考え。これは対中戦略と見ればいい」と分析。
米国が主導する停戦交渉によって、ウクライナがロシアに領土の一部を奪われるのは不可避との見通しを示した。ウクライナに対する同情論や核廃絶論がクローズアップされる現状について「ウクライナの正義が日本や台湾を守ってくれるわけではない。問題は中国だと気づかないといけない」と訴えた。
「今日のウクライナは明日の台湾、日本」と言われることについて「中国は台湾に対する態度をウクライナ問題では決めない。ウクライナ問題で正義の側に立つことが、台湾への侵略を止めることにはつながらない」と指摘。
その上で「中国は現実を見ている。米国にどのくらい台湾防護の準備ができているか。台湾自身がどこまで戦う気持ちを持っているか、日本はどこまで日本国そのものを守り、台湾とともに戦う意思があるのか。憲法にがんじがらめの日本には何もできないと思われる可能性もある」と危機感をあらわにした。