旧暦5月の満月の夜、海に卵を放つことで知られるオカガニの産卵の光景が28日夜、石垣市の大浜海岸で見られた。
オカガニは普段は内陸部の海岸林に生息。旧暦の5月13日から大潮に当たる15日にかけて腹部に卵を抱えたメスのオカガニが放卵のため、海岸に下りて、一斉に産卵する。
大浜海岸では同日午後8時30分ごろ、数匹のオカガニが草陰から姿を現し、ゆっくりと砂浜へ移動。月明かりが照らす波打ち際で体を震わせながら産卵する神秘的な光景が繰り広げられた。
海に放たれた卵はすぐに孵化(ふか)し、幼生期を海で過ごした後、陸に戻ってくる。
竹富町黒島などの離島では、戦後の食糧難の際、オカガニを食用にしたことで知られる。
(文・写真 南風原英和)