導入予定の宿泊税を巡り、制度設計の見直しを検討している沖縄県は、県議会6月定例会への関係条例案提出を見送った。県市長会会長の中山義隆石垣市長は11日、県庁を訪れ、県の方針転換について「これまでのプロセスをないがしろにした行為」などと抗議する文書を大城肇副知事に提出。宿泊税の早期導入を改めて求めた。抗議書の宛て先は玉城デニー知事。
玉城知事は宿泊税に関し、全県民を課税免除とすることや、使途を限定しない普通税として徴収する可能性も含め検討する考えを示している。
抗議書では「事前に調整や通達もない唐突かつ一方的な発言」と批判。宿泊税の制度設計や導入時期に関しては、昨年11月に検討委員会が意見を提出するまで、県と関係市町村が協議を重ねてきたと指摘した。
その上で、制度設計見直しや条例提案見送りは「積み重ねてきた議論の趣旨に反する行為であり、到底容認できない」と抗議した。
県議会6月定例会への条例提出見送りを撤回し、これまで協議を重ねてきた制度で宿泊税の早期導入に取り組むよう要求。課税免除の対象については修学旅行に加え、学校教育の一環として行われる活動についても配慮するよう求めた。
法定外普通税の導入を目指す場合は、県税としての観光目的税(宿泊税)導入を断念し、市町村の主体的な取り組みを支援するよう要請。宿泊税の意義について「県、市町村が目指すべき将来像を達成するために必要な財源として位置づけ、観光客、地域住民、観光事業者のそれぞれの満足度を向上させ、持続可能な観光地づくりを推進していく」としている。
中山市長によると、大城副知事は「できるだけ早い段階で宿泊税を実施できるように取り組みたい」と応じた。中山市長は取材に対し、宿泊税導入の必要性を強調し「大城副知事は八重山出身で、離島の状況を理解しているので、知事にアドバイスして取り組んでくれると思う」と話した。
抗議書の提出には宮古島市の嘉数登市長、名護市の渡具知武豊市長が同行した。