石垣市議会で不信任決議された中山義隆市長(57)が失職し、出直し市長選が実施される見通しとなったことを受け、野党勢力は21日までに、県議の次呂久成崇氏(51)を次期市長選の候補とすることを決めた。次呂久氏は回答を保留している。自民党県連は中山氏を支持するかどうかを含め、23日までの方針決定を目指し党内協議を進める。市長選には市議会中立会派の市議、箕底用一氏(44)も出馬の意向を示している。
野党関係者によると、野党勢力の候補者選考委員会は19日の会合で候補者を次呂久氏に絞り込んだ。20日に本人に伝え、出馬を要請したという。
次呂久氏は県議会で、玉城デニー知事を支持する「オール沖縄」勢力の立場。関係者は「県議3期の実績や人物が高く評価され、適任と判断した」と話した。
ただ「オール沖縄」勢力は昨年、県議会で少数派に転落。次呂久氏が市長選出馬のため辞職すれば、議会運営はさらに苦しさを増す。次呂久氏が出馬を受諾するか、懐疑的な見方も広がっている。
中山氏は29日で自動失職し、出直し市長選に出馬する方向で支持者と調整を進めている。
自民党石垣市支部長の大浜一郎県議は20日、自民系の与党市議団と市長選への対応を協議。自民県連の政調会長を務める大浜氏は、県連として状況を把握していないとして、改めて事情を説明するよう求めた。
大浜氏は取材に対し、中山氏本人から出直し市長選に出馬する意向は正式に伝えられていないとした上で「候補者を誰にするかは、党内で手続きを踏んでコンセンサスを得る必要がある」と強調した。
同支部は今後、元市議や有力支援者らで構成する評議員会を開き、引き続き対応を協議する。自民党石垣市支部、自民党第4選挙区支部で候補者を決定後、県連に推薦を依頼するという流れになる。
自民系の与党市議団は中山氏の5選支持でほぼまとまった。ただ県連や支持層の一部からは、不信任決議をあえて受け入れて市長選に臨む中山氏と、与党市議団の対応を疑問視する声が出ている。関係者は「中山ありきではない」とくぎを刺した。
与党の公明は不信任決議に反対した。出直し市長選となった場合の対応も明確にしていない。
箕底氏は20日の市議会で中山市政を厳しく批判し、市長選出馬への意思を改めて表明。「反中山」の保守層取り込みや、野党勢力との一本化を模索する。