沖縄本島の今帰仁村と名護市にまたがる約120㌶のエリアで、県内初の本格的なテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業した。沖縄観光の新たな目玉となれば、本島北部だけでなく、離島を含めた県内全域への経済波及効果にも期待が高まる。
ジャングリア沖縄を企画したのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建で知られる森岡毅氏が代表取締役CEОを務める株式会社「刀」だ。
約700億円を投じ、沖縄本島北部の旧ゴルフ場にジャングリア沖縄を建設した。ジャパンエンターテイメントがテーマパークの運営を担当する。
ジャングリア沖縄の最大の魅力は、都会にある人工物がメインのテーマパークとは異なり、世界自然遺産やんばるを擁する沖縄本島北部の大自然を満喫できることだ。広大な樹林や渓谷などの立地を生かし、個性的な22のアトラクションを楽しめる。
精巧な恐竜のロボットを配置し、恐竜の襲撃から逃げたり、迷子になった恐竜の赤ちゃんを探すアトラクションもある。SF映画に入り込んだような感覚を味わえる。
絶景を見ながら巨大なブランコで揺られたり、数階建てのビルに相当する高さの吊り橋を命綱だけを頼りに渡るアトラクションは手に汗握る。
ジャングリア沖縄の開業で当面期待されるのは、宿泊を伴う「滞在型観光」の活性化だ。これまで本島北部では美ら海水族館しか目立った観光施設がなく、観光客の宿泊先は那覇市などの本島中南部が多かった。
ジャングリア沖縄を訪れる観光客が本島北部に腰を据えれば、北部での宿泊も増え、沖縄での滞在日数が延びる。さらには本島周辺や宮古、八重山といった離島観光も視野に入る。
ジャングリア沖縄は海外からの誘客にも力を入れるが、成功すれば、最終的には離島を含む沖縄全体の観光客数押し上げにつながる可能性がある。
森岡氏は開業セレモニーで「沖縄はもっと伸びる。日本はもっと伸びる。新しい価値、新しい事業をつくろうと挑戦する魂が凝縮したジャングリアというプロジェクトを応援してほしい」と訴えた。沖縄から日本全体を元気にしようという心意気にエールを送りたい。
開業直後から、メディアの報道やSNSなどではジャングリア沖縄の情報が氾濫している。ただ、その中には辛辣な内容も少なくない。
待ち行列をパスできるチケットもあるが、人気アトラクションは4~5時間待ちのケースもある。広大なエリアの移動は主に徒歩で、休憩所が少なく、夏場の炎天下は体力的に消耗することがある。悪天候時の対応も課題だ。
事前に情報を仕入れて準備した上で現地に出向かいないと、十分に楽しめないかも知れない。
話題性の大きさという意味ではスタートダッシュを決めた。ここからがチャレンジの始まりだ。