今月、沖縄市で開かれた「沖縄全島エイサーまつり」(主催・同実行委員会)で、一部の団体や政治家が自衛隊を参加させないよう要請した問題で、玉城デニー知事は18日、県議会代表質問で見解を問われ「県民にさまざまな意見があることを踏まえ、主催者が(参加を)判断したもの」と述べ、要請は「職業差別」であるとの認識を示さなかった。
沖縄市などでつくる全島エイサーまつり実行委員会は、同まつりの70回目を迎えることを記念し、陸上自衛隊第15旅団のエイサー隊に初参加を依頼。これに対し「オール沖縄」勢力の政治家や団体などが「県民感情にそぐわない」などと反発し、実行委や陸自に参加取りやめを求めた。実行委は要請に応じず、陸自のエイサー隊はまつり初日の今月12日、予定通り出演した。
この問題は新垣淑豊氏(自民)が取り上げ、自衛隊の参加取りやめを求める行為が憲法の平等原則、県の「差別のない社会づくり条例」に抵触する可能性を指摘。その上で「職業差別と受け止められる可能性がある。自衛隊は沖縄の人の命や財産を守るために一生懸命活動している」と強調した。
玉城知事は「県民は、かつて悲惨な沖縄戦を経年したこともあり、復帰後は米軍だけでなく、自衛隊に対しても厳しい見方が強い時期もあった」と述べた。一方で「自衛隊は防衛だけでなく、急患搬送などにも献身的に貢献しており、近年は自衛隊に肯定的な意見が増えている。さまざまな意見がある」と説明。この問題に対する明確な見解は示さなかった。