【視点】反対派の逸脱 県民は共感せず

 ルールを逸脱した反対運動は、沖縄県民の共感を得られない。

 中谷元防衛相は記者会見で「最近、沖縄における自衛隊の活動に対する過度な抗議活動、妨害行為が続いている。このような妨害行為で、訓練の内容の変更を余儀なくされたのは大変遺憾だ」と述べた。
 防衛相が言うように、自衛隊に対する反対運動絡みのトラブルが沖縄で頻発している。懸念を禁じ得ない。

 宮古島では今月、日米実動訓練「レゾリュート・ドラゴン」の一環で、陸自が物資輸送訓練を実施しようとしたが、港で反対派が立ちふさがり、陸自は訓練の続行を断念した。
 8月にも同じく宮古島で、陸自隊員が災害を想定し、長距離を徒歩で歩く訓練が行われたが、反対派が拡声器を持ち出して抗議した。駐屯地司令がこれを注意したことが「市民を恫喝」したと報じられた。
 今月、沖縄市で行われた沖縄全島エイサーまつりで、陸自第15旅団エイサー隊の初参加が決まると「オール沖縄」勢力の政治家や団体が、自衛隊の参加中止を求める要請活動を展開した。

 日本は民主主義国家なので、自衛隊の活動に反対する自由も憲法で保障されている。だが最近、沖縄で起きているトラブルは、いずれも一線を越えているのではないか。
 有事を想定した訓練を実力で阻止することは、回りまわって結局、県民の生命や財産を危険にさらすことになる。
 拡声器を使った抗議に対し、駐屯地司令が激高したように見える動画はネットにも公開されたが、県民世論の反応としては、むしろ司令や隊員たちに同情的な声が多い。厳しい訓練に耐えて休憩中の隊員たちに、拡声器で抗議する反対派の行為のほうが常識を疑われるだろう。

 自衛隊のエイサーまつり参加に反対する運動に対しては、県議会で自民党の県議から「職業差別」との指摘が上がった。自衛隊の成人式参加を阻止したかつての沖縄を想起させる。
 予定通りまつりに出演した自衛隊のエイサー隊は、観客から大きな喝さいを浴びた。自衛隊の参加に反対する運動のほうが時代錯誤だったということだ。

 玉城デニー知事は、自衛隊への反対運動について「過重な米軍基地の負担に合わせて自衛隊の配備が増強されてきている現状から考えると、他県とは県民が受け止める感情は違う」と述べた。また防衛相の発言に対しては、会見に出席した記者から「旧日本軍と自衛隊の連続性」を問う声が上がった。

 自衛隊は国民を守る重要な資源であり「負担」という言葉で在日米軍と同一視するのは不適切だ。旧日本軍と自衛隊が全く別の組織であることは、憲法上も明らかである。こうした子どもじみた誤解とは、もう決別すべき時だ。

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