7月の参議院選挙で日本維新の会から初当選を果たした石平氏がこのほど石垣市を訪れ、八重山日報のインタビューに応じた。政治評論家として長年、中国問題や日本の安全保障を論じてきた石氏は「国会議員として6年間、日本を守る仕事に全力を尽くしたい」と意欲を示した。
選挙戦では「中国の脅威から日本を守る」ことを基本政策に掲げた。「尖閣、台湾問題は日本の安全保障の根幹。台湾有事が現実になれば、日本のシーレーンは断たれ、沖縄は最前線となる。未然に防ぐことが政治の責務だ」と強調した。
特に尖閣諸島を巡っては「日常的な領海侵犯が既成事実化している。領海侵犯は領土侵犯と同じ性格を持ち、侵略が常態化しているとも言える。しかし日本政府は自治体の努力をむしろ抑え込むことがある。国会で問題提起し、毅然とした対応を政府に求めていく」と述べた。
中国から帰化した石氏は、外国人問題についても言及。「帰化制度は緩く、移民政策も安易に進められている。日本の伝統や文化が壊される懸念がある」とし、制度の厳格化を訴えた。
古来の渡来人は日本の文化を尊重し、社会に溶け込んできたとして「日本の価値観を尊重し溶け込むのではなく、独自の社会を築いたり、自らの価値観を押し付ける外国人もいる。ヨーロッパの二の舞になってはいけない」と危機感を示した。
安全保障上の法整備について「先進国で日本だけにスパイ防止法がないのは極めて不利」と述べ、超党派で早期制定を目指す方針を示した。
石氏は中国・四川省出身。1989年の天安門事件が人生を大きく変え、中国との「精神的決別の原点となった」という。
天安門事件について「私は民主化運動に共鳴していたが、共産党政権は若者を戦車で虐殺した。あの日を境に、中華人民共和国への愛国心は完全に絶たれた」。その後、日本に帰化し評論活動を経て、国政選挙挑戦につながった。
当選後、中国共産党政権から制裁を受けた。「意外だったが、痛くもかゆくもない。むしろ私の言論活動、尖閣、台湾、チベットに関する発言の正しさが証明された」と皮肉った。
公設第一秘書には元海上保安官の一色正春氏を起用した。同氏は2010年、尖閣諸島の領海内で巡視船に体当たりしてきた中国船の映像を動画サイトに投稿したことで知られる。「職を失うリスクを顧みず、日本の海と国益を守るため果敢な行動を取った。共に日本と尖閣を守ろう」と説得したという。
長年の評論活動を経ての政界入りについては「言論だけでなく政治の場で中国の脅威に立ち向かうべきだと考えた。維新の会は安全保障への現実的な姿勢を持ち、改革の精神もある。そこで出馬を決意した」と話した。
八重山、沖縄は日本の安全保障の最前線であるとの認識から「人々が日々不安と隣り合わせで暮らしていることを痛感している。だからこそ、国が責任を持って皆さんを守らなければならない。沖縄の皆さんと共に、日本の未来を築いていきたい」と決意を新たにした。