石垣島への陸上自衛隊配備計画をめぐり、9日投開票された石垣市議選で、原則として平得大俣地区への配備に賛成する候補者は11人が当選。過半数(12人)には届かなかったものの、反対派の9人、慎重姿勢を示す公明の2人に対し多数派となった。駐屯地建設予定地の市有地約23㌶を防衛省に売却する議案は12月議会で提案される見通し。陸自配備の実現に向け、やや有利な情勢となった。
中山義隆市長は10日、選挙結果について陸自配備賛成という「市民の民意が示された」と述べ、配備に協力する姿勢を改めて示した。
陸自配備推進派は、中山市長を支持する与党の当選者13人のうち、公明を除く11人。このうち箕底用一氏と米盛初恵氏は地域住民の理解を得ることなどを求めているが、基本的には市長と同調する考えを示している。
採決に加わらない議長は与党から出るため、仮に売却議案が提出された場合、賛成10、反対9となり、残る公明2人の動向が焦点となる。
公明が反対に回れば議案は否決されるが、賛成または退席なら可決の公算。与党側の関係者は「配備を推進する自民党との関係を考えると、反対は難しいのではないか」と話し、公明は退席する可能性が大きいとの見方を示す。
ただ、円滑な市政運営を目指す中山市政にとって、公明との連携維持は至上命題の一つ。中山市長は「(12月議会に売却議案を提案するかは)その時の情勢しだい」とした上で「公明は同じ与党なので、しっかり話を聞きたい」と、公明に配慮しながら検討を進める考えを示した。
反対派の野党も一枚岩ではない。保守系の砂川利勝氏は平得大俣地区での現計画には反対するものの、配備そのものには賛成する姿勢。革新リベラル系の8人とは一線を画している。
野党関係者は「厳しい状況に追い込まれた。新たな形で配備反対の市民運動を起こす可能性も視野に入れる」と話した。