【視点】知事演説、対立色避ける配慮も

 翁長前県政とは異なる〝デニー色〟をいっそう強く打ち出したのは、玉城氏が知事選の期間中から多用してきたキーワードを所信表明でも採用した部分だ。「誰一人取り残すことなく、すべての人の尊厳を守り、多様性や寛容性を大切にした共生の社会づくりを目指す」「祖先(ウヤファーフジ)への敬い、自然への畏敬の念、他者の痛みに寄り添うチムグクルは沖縄文化の根底をなす」と述べ、新県政のソフトイメージを積極的に発信した。公約だった「子育て世代包括支援センター」の全市町村設置にも言及。妊娠、出産、就学前の子育てを切れ目なく支援する考えを示した。
 耳に心地よい言葉に終わらせることなく、どこまで具体的な政策として実現できるかが問われる。
 翁長前県政との継続性を強調するのも忘れなかった。翁長氏が「揺らぐことのない自らの決意がいつも県民とともにあることを命を懸けて私たちに伝え続けた」と称賛。経済発展に向け「アジアのダイナミズムを取り込む」という翁長氏の決まり文句もそのまま取り入れた。大型MICE整備、鉄軌道の導入など、前県政時代の政策もおおむね踏襲している。
 政策実現には政府との連携が不可欠だ。知事選では国政野党に支えられた玉城氏が、どこまで政府との交渉力を発揮できるか試される。

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