幻の伝統酒復活へ 泡盛メーカー3社「イムゲー」製造

イムゲーの合同研究記者発表を行った(左から)㈱久米島の久米仙の島袋正也社長、請福酒造有限会社の漢那憲隆社長、㈱多良川の砂川拓也社長、沖縄工業センターの古堅勝也所長、同センターの豊川哲也主任研究員=17日、那覇市内のホテル

 泡盛製造を手掛ける請福酒造有限会社(石垣市、漢那憲隆社長)、株式会社多良川(宮古島市、砂川拓也社長)、株式会社久米島の久米仙(久米島町、島袋正也社長)と沖縄工業技術センター(古堅勝也所長)は17日、那覇市で合同記者会見を開き、沖縄の伝統蒸留酒「イムゲー(芋酒)」を復活させると発表した。久米仙の島袋社長は「島には特産物のイモ、製糖工場があるので、地域おこしになる。3社がまとまって取り組むのは、いまだかつて泡盛業界でないこと」と期待を込めた。
 19日開催の「沖縄の産業まつり」、11月3日開催の「八重山の産業まつり」、11月23日開催の「沖縄離島フェア」で、請福酒造が約1000本の試飲会とテストマーケティングを行う。3社それぞれが2019年春の商品化に向けて取り組みを進める。

 県内のイムゲーは約100年前まで庶民の間で広く飲まれた蒸留酒。泡盛は輸出用の高級嗜好品として琉球士族などの上流階級で流通し、庶民の手の届かないものだった。
 イムゲーは日常で入手できる原料を使い、自家用で製造され、罰金や罰則などの規制はなく、明治末期まで県内で広く普及していたが、明治憲法のもと酒税法の制定と共に姿を消し、戦後もほぼ作られなくなり、県民の記憶からも消えた幻の酒と言われる。
 新たに開発されるイムゲーは、請福酒造の漢那社長が古い文献を参考にし、現在の泡盛製造技術で既存の蒸留酒にはない米麹(タイ米)、県産甘藷(さつまいも)、県産粉黒糖を活用。製造ノウハウの獲得、製造免許の取得、原料イモの調達などに4者で取り組んだ。今後は泡盛に特化して発展してきた酒造業界の再活性化を視野に入れる。イムゲーを沖縄の伝統酒として普及させていくため、3社以外の泡盛酒造所からの参入も受け入れるという。
 多良川の砂川社長は「3社でそれぞれ独特のイムゲーを作り、県内、全国、海外へ発信できれば」と展望。漢那社長は「イムゲーの復活は沖縄の酒造業界だけでなく、農業を含めた様々な領域に良い影響を与える」と強調した。

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