那覇市長選では、玉城デニー知事が支援する城間幹子氏が再選された。誕生したばかりの玉城県政は、もともと那覇市政とは連携関係にあったが、城間氏の再選で、足元の支持基盤をさらに強化した。玉城知事を支え、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する革新リベラル勢力は、市長選で豊見城市に続き2連勝。県都決戦で知事選の結果を再現し、県内政局の主導権を引き続き確保した。
今選挙も知事選と同様の「革新リベラル勢力」対「保守中道勢力」の構図。ただ2017年10月の衆院選で自公と維新の「保守中道勢力」候補が獲得した票の合計は、当選した赤嶺政賢氏(共産)の得票を上回っており、もともと、基礎票では翁長氏が有利だったと見られる。
それでも城間氏が圧勝で勝利したのは、無党派層の支持を伸ばしたことが要因だ。知事選でも玉城氏は、那覇市で自民党などが擁立した候補に大差をつけた。城間陣営は、直前の知事選で巻き起こった「玉城ブーム」の勢いをそのまま持続したことになる。
豊見城、那覇市長選で辺野古移設問題は直接的な争点にはならなかったが、応援演説した玉城知事や、当選した2人はいずれも積極的に言及し、反対を表明した。辺野古移設問題の「隠れ争点化」戦略が那覇市長選で奏功した可能性は否めない。
県の辺野古埋め立て承認撤回に対し、選挙期間中の17日、政府が法的対抗措置に踏み切ったことも有権者の投票行動に影響した可能性がある。選挙期間中、自民党県連会長の国場幸之助衆院議員の女性問題が週刊誌で報じられたのも痛手だった。
県民の基地負担軽減策の一環である辺野古移設をめぐっては、逆に新たな基地負担であるという有権者の誤解が根強い。来年の参院選に向け、辺野古移設問題とどう向き合うか、保守中道勢力は重い課題を突き付けられた格好だ。