石垣市での陸上自衛隊の部隊配備計画を巡り、防衛省は29日までに、本年度内に駐屯地の造成工事に着手する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。大型土地造成を伴う事業は来年度以降の着工だと県の環境影響評価(アセスメント)条例の対象になり、全体の整備に遅れが生じるのを避ける狙いがある。
中山義隆市長は7月、配備を受け入れる考えを正式表明する一方、周辺地区では「静かな生活環境が壊れる」として反対運動が発生。県も「地域に分断を持ち込む強行配備は認められない」との立場を示している。
県は今年3月、施行区域が20ヘクタール以上で、土地造成を伴う事業を新たにアセスメント対象にする改正条例を制定。今月1日に施行されたが、経過措置として本年度内に着工すれば適用されない。政府内に「アセスは最短で3年はかかる」との懸念があり、年度内着工の方針を固めた。
候補地は約46ヘクタールに上る。防衛省沖縄防衛局は造成工事の入札公告を実施するとともに、市有地の用地取得に向けた作業も進める。
防衛省は、石垣市の尖閣諸島周辺で中国との緊張状態が続く中、南西諸島防衛のため石垣島に500~600人規模の警備部隊と地対空・地対艦ミサイル部隊の配備を計画している。(共同)