韓国では2017年5月の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以来、慰安婦問題、徴用工問題などで対日関係が緊張の度を増しているが、一方で北朝鮮に対しては凄まじい勢いで融和政策が進行している。同書では、米朝首脳会談などの最近のニュースを盛り込みながら、半島問題を攪乱(かくらん)する文政権の目的を読む。著者は龍谷大教授。
序章「左派に占領された韓国メディア」では、文政権主導のもと、国家レベルで進む「積弊(長年積もった弊害)清算」がメディア業界にも波及している現状をレポート。メディアの猛烈な攻撃で首相候補が相次ぎ失脚したことなどを紹介する。
以下の各章では「南北会談の秘められた深意」「文政権は北の崩壊を望まない」「左派との内戦に敗れた朴槿恵」「積弊に執着する歴代左派政権」「保守派への恐怖政治」をテーマに解説する。
著者は「韓国左派の特徴は、人権を声高く唱えながらも、北朝鮮人民の人権に対しては沈黙、韓国の独裁政権には好意的であること、韓国政府よりは北朝鮮政府に正統性があると主張するところにある」「本書は、文在寅のような親北朝鮮志向を隠そうとしない政治家が、なぜ大統領に当選し、国民の支持を得ているかを探ったものだ」と述べた。
同書は237ページ。定価は1300円+税。産経新聞出版刊。