中国軍副司令官が19日訪日 尖閣「管轄」の戦区幹部 日米の一体対抗回避狙う

 中国軍で尖閣諸島(石垣市登野城)や台湾など東シナ海を管轄すると中国側が位置付ける「東部戦区」の孫和栄(そん・わえい)副司令官(中将)が19~21日に日本を公式訪問し、自衛隊と交流する方向で調整していることが14日、分かった。複数の日本政府関係者が明らかにした。同戦区幹部の訪日は初めて。
 中国は米国と軍事分野でも摩擦を抱えており、日本と交流を深めることで、日米が一体で中国に対抗する事態を避けたい考えだ。日本は、中国が領有権を主張する尖閣周辺での偶発的な衝突の発生を防ぐため、意思疎通を図る狙いがある。

 複数の関係者によると、訪日は中国側が希望した。孫氏は九州地方などで陸海空自衛隊の活動状況を視察する見通し。その後、東京も訪れ、河野克俊統合幕僚長ら防衛省幹部との面会を検討している。
 中国は台湾や軍事拠点化を進める南シナ海を巡り、米国との対立が激しくなっており、米国以外の国と友好関係の構築に腐心している。
 日中両政府は10月19日のシンガポールでの防衛相会談で防衛交流を進める方針を確認した。安倍晋三首相は10月25~27日の訪中で習近平(しゅう・きんぺい)国家主席と会談した際、尖閣周辺での不測の事態回避で一致。李克強(り・こくきょう)首相との会談では、海上自衛隊と中国海軍の艦艇や防衛相の相互訪問を検討すると確認した。
 ただ、中国公船は尖閣周辺の日本領海に侵入を繰り返しており、直近では11日に侵入した。習指導部は「主権を巡る立場で日本に譲ることはない」(関係者)としており、信頼醸成が進むかは見通せない。

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