菅義偉官房長官は3日の記者会見で、東シナ海の日中中間線付近で中国の掘削船が11月中旬にガス田を試掘しているとみられる活動をしていたとして、東京と北京の外交ルートを通じて中国政府に抗議したと明らかにした。「中国側が一方的な開発行為を継続しているのは極めて遺憾だ」と述べた。
一方、中国外務省の耿爽(こう・そう)副報道局長は3日の記者会見で「ガス田での活動は完全に中国の主権と管轄権の範囲内だ」と述べ、正当化した。日中中間線については「日本の一方的な主張で、中国は認めていない」と重ねて強調した。
掘削船の動きは防衛省が確認した。政府関係者によると、9月に中間線の中国側で掘削とみられる活動をしていることが判明し、中国に抗議した。掘削船は11月中旬、9月の地点から南南西約120キロの中国側海域に移動し、同様の動きが確認された。
日中両政府は2008年、ガス田の共同開発に合意したが、合意を実行に移すための交渉は10年に中断。中国は中間線の中国側海域に計16基のガス田掘削施設を建造し、単独開発を進めている。
菅氏は会見で「交渉を早期に再開できるよう、引き続き強く求めたい」と強調した。
安倍晋三首相と中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は今年10月の会談で、合意を「完全に堅持」し、早期の交渉再開を目指し意思疎通を強化すると一致。11月30日のブエノスアイレスでの会談でも、首相が交渉の早期再開を求めた。(東京、北京共同)