救急医療の現場で生と死を見てきた東京大名誉教授の医師、矢作直樹さんが、改めて日本の歴史を見直した書が、扶桑社から刊行された。患者や家族の変化を通じ、日本人の心構えが変わって来たと感じた著者は、戦後の日本人が受けてきた歴史教育に原因があると思い当たる。
同書では「歴史の真実」を知りたいと願う人たちのために、歴史の授業や一般的な歴史の本では取り上げられない「歴史のウラ側」を紹介する。
1947年の日本国憲法施行については、マッカーサーの指示で改憲が行われた歴史的事実を紹介。「現行憲法では、世界中のさまざまな国々が弱肉強食の生存競争を繰り広げる中で、国が独立国として存在するための前提となる生存権、つまり自衛戦争の権利と自衛戦力の保持が否定されています。その内容は日本が連合国(実際はアメリカ)の保護国であるというものであり、基本的には現在もそのままです」と指摘。「日本が戦争を放棄しても、戦争は日本を放棄しない」と警鐘を鳴らす。
著者は「同じ歴史的事実でも立場が異なると見え方がまったく違ってくるということを体験していただけたら」と期待する。
同書は228ページ。定価1100円+税。